オーストラリアでの最高の釣り体験
高山の渓流でマスを狙うフライ・フィッシングから、熱帯の海での大魚との格闘まで、オーストラリアでは世界でも指折りの釣りを体験できます。
原文:サイモン・ウェブスター
トップエンドでバラマンディを狙う
体長は最大で1.4m、重さは40kg超。バラマンディは世界で最もエキサイティングなスポーツ・フィッシュの1つでしょう。このオーストラリアの象徴でもある巨大なパーチは、爆発的に餌に食いつき、荒々しくジャンプして泳ぎ回り、釣り人と激しい格闘を繰り広げます。
巨大なバラマンディを釣り上げることは、多くの釣り人が一生のうちに成し遂げたいことの一番に挙げており、ノーザンテリトリーの干満のある河口や川は最高のポイントです。
トップエンド(ダーウィンとノーザンテリトリーの最北部)でも、美しい青い海でスポーツ・フィッシングが楽しめます。コシナガマグロ、クイーン・フィッシュ、スパニッシュ・マカレル(サワラ)などが人気のある魚です。魚の種類の多さと同様に、トップエンドでの釣り業者と釣行の選択肢は無数にあります。
アーネム・ランド(Arnhem Land)にあるフィッシング・ロッジ、コーバーグ半島(Cobourg Peninsula)やグルートアイランド島(Groote Eylandt)でキャンプをすることもできます。アーネム・ランドはフィッシング・アドベンチャーと先住民アボリジニ・オーストラリアの文化を訪ねる旅を組み合わせるのにぴったりの場所です。またヘリコプターに飛び乗って、ヘリ・フィッシングに行くこともできます。好きな方法で釣りを楽しみましょう。
ベスト・シーズン:目的によってさまざまです。ノーザンテリトリーの釣りのシーズンをご覧ください。
キンバリーでヘリコプターに乗る
新しい釣り場には車やボートで向かうのが楽しいと思っていませんか?ヘリ・フィッシングを知れば、そんな考えは吹き飛ぶでしょう。西オーストラリア州にある起伏の激しいキンバリー地域は、アウトバックの滝、渓谷、ドラマチックな海岸線に恵まれ、バラマンディが数多く生息しています。しかし、バラマンディを釣る最高のスポットはどこでしょうか?
ヘリコプターのパイロットに聞いてみましょう。ビラボン(氾濫原)から海岸の平地に至るまで、大きくて美しいバラマンディだけでなく、マングローブ・ジャック、テッポウウオ、コトヒキ、ナマズなどが釣れるスポットを探して、サッと連れて行ってくれます。
ヘリ・フィッシングによる釣行は5時間程度のものから、3日間におよぶものがあります。キンバリー(Kimberley)の素晴らしい光景を眺めながら、釣りのスポットへ着陸。そこはほとんどの人にとっては夢にしか見られないような場所です。さらに、食べ物や飲み物も用意されており、釣りの話をしながら楽しむことができます。
キンバリーでのバラマンディ釣りは、1日または数日間のオード川アドベンチャーでも楽しめます。また人里離れていながら豪華なコスタル・キャンプ(Coastal Camp)では、美味しい食事、先住民アボリジニの壁画を巡るツアー、ビーチフロントのバンガローでの宿泊、青い海または河口での釣りがセットになったオールインクルーシブのパッケージも利用できます。
ベスト・シーズン:ヘリ・フィッシングは年中利用できますが、通常は1月から5月が最も魚の釣れる季節です。オード・リバー・アルティメット・アドベンチャーズ(Ord River Ultimate Adventures operates)は4月から10月まで営業しています。キンバリーのコースタル・キャンプは通年営業しています。
グレート・バリア・リーフで釣る
ここは世界で自然の驚異と呼ばれる場所の1つで、目に見える生物だけに限らず、1,600種類以上の魚類が生息しています。グレート・バリア・リーフ(Great Barrier Reef)への釣行をためらう人などいるでしょうか?
圧倒的な30万平方キロメートルにおよぶ自然のままの海、のどかな島々、そして信じられないほど美しいコーラル・ケイがリーフを形作っています。そしてチャーター船は、今まで誰もそこで釣りをしたことがないように見える場所に連れて行ってくれます。
グレート・バリア・リーフを住み処にしていると言われる途方もない種類の魚の中には、シロカジキ、クロカジキ、バショウカジキ、イソマグロ、ロウニンアジ、カマスサワラなどがあります。
このリーフを行き来する釣り船業者には、ファー・ノース・スポーツ・フィッシング(Far North Sports Fishing)、イースト・コースト・アングリング(East Coast Angling)、レネゲイド・フィッシング・チャーターズ(Quest Angling Expeditions)、そして船内で豪華な生活ができるエリザベスE II(Elizabeth E II)などがあります。どの業者も、世界最高の釣り場へと連れて行ってくれます。
ここに滞在している間には、ぜひウェットスーツを着込んで釣行とダイビングを組み合わせ、海の中の世界を覗き込んで忘れられない思い出を作ってください。
ベスト・シーズン:目的によってさまざまです。魚種別カレンダーをご覧ください。
タスマニアへ飛ぶ
オーストラリアについて何かを思い浮かべるとき、高原の湖でのフライ・フィッシングが最初に浮かぶことはまずないでしょう。しかしタスマニア州では、湖から渓流、穏やかな川まで、さまざまなタイプの素晴らしいフライ・フィッシングを楽しむことができます。そしてほぼ間違いなく、世界で最も純粋な種類の野生のブラウン・トラウトを釣ることができます。
オーストラリアにマスが移入されたのは1860年代で、国内の涼しい地域で繁殖してきました。現在、タスマニア州は2019世界フライ・フィッシング選手権の開催国として選ばれるほど、フライ・フィッシングが盛んなところとして認められています。しかし、このスポーツを楽しむのにチャンピオンである必要はありません。
リバーフライ1864(RiverFly1864)では、初心者もベテランも同様に、日帰りまたは数日の釣行で原生地域でのフライ・フィッシングのアドベンチャーを楽しみ、ブラウン・トラウトやニジマスを釣ることができます。ドリフトウォーター(Driftwater)では、ドリフトボートに乗って魚を探し、静けさにふけることができます。サウザンド・レイク・ロッジ(Thousand Lakes Lodge)に泊まれば、1,000もの湖で釣りができます。
タスマニア州でのフィッシング・アドベンチャーはこの場所だけに留まりません。タスマニア州では、20分ほど沖合に出ただけで素晴らしいゲーム・フィッシングができます。世界記録をしのぐミナミマグロに挑戦しましょう。
ベスト・シーズン:8月から4月。
ニンガルーの沖合に挑む
グレート・バリア・リーフのライバルと言える存在が、西オーストラリア州の端にあります。ニンガルーリーフ(Ningaloo Reef)は、東海岸の有名なリーフより規模は小さく、知名度も劣るかもしれませんが、美しさでは負けていません。世界遺産にも登録されており、驚くほどさまざまな生物が生息しています。大きな強みの1つは、リーフがビーチから歩いて行けるほど近い海岸沿いにあるということです。
リーフ内に留まってスポーツ・フィッシングや海でのフライ・フィッシングを楽しむことも、またこの地域の海岸からは大陸棚が極めて近いため、リーフの外に出て大魚と格闘することもできます。海岸沿いの街、エクスマス(Exmouth)からは、フライ・フィッシング・フロンティアズ(Fly Fishing Frontiers)またはニンガルー・フライ・フィッシング(Ningaloo Fly Fishing)でボートをチャーターして、ラグーン内でボーンフィッシュを狙うことや、青い海でバショウカジキを探すことができます。
またコーラル・ベイ(Coral Bay)からは、マヒ・マヒ・フィッシング・チャーターズ(Mahi Mahi Fishing Charters)を利用して、カジキ、バショウカジキ、シイラ(マヒマヒ)を釣りに行くことができます。地元の人は、西海岸が最高だと、そして自分たちはポイントを心得ていると話すでしょう。
ベスト・シーズン:ベスト・シーズンは狙う魚の種類によって異なりますが、エクスマスでは年間を通じて釣りを楽しめます。魚の種類については、こちらをご覧ください。
モーニントンで釣り糸を垂らす
メルボルンから南にわずか1時間ほどのモーニントン半島(Mornington Peninsula)にある広々としたポート・フィリップ湾(Port Phillip Bay)。第二次世界大戦中に建造された堂々とした船、「プロバー(Plover)」に乗って、半日または1日の素晴らしい海釣りを楽しめます。ベイ・フィッシュNトリップス(Bay Fish N Trips)が運航するプロバー号には、日帰りの釣行に十分なスペースがあり、釣り客は海の上で快適に過ごすことができます。船長のスチュアートは、ポート・フィリップ湾での釣り客の案内に何年もの経験があるため、絶好のスポットに連れて行ってくれます。
ピンク・スナッパー、ダイオウギス、コチ、ホシザメなどが主なターゲットですが、他にも5~6種類ほどが常に狙えます。美味しくて栄養豊かなランチとともに、道具や機材はすべて用意されているため、手ぶらで行くことができます。
シドニーで都会っ子の魚を捕まえる
シドニーはオペラ・ハウス(Opera House)やハーバー・ブリッジ(Harbour Bridge)の方で有名かもしれませんが、この街にも格別の釣り場があります。
シドニー・フライ・フィッシング(Sydney Flyfishing)を経営するジャスティン・ダガン氏は、「この街のビルの陰で撮られたデイビッド・アッテンボローのドキュメンタリーだってあるんだ。今日だって、オペラ・ハウスのすぐ下でオーストラリアン・サーモンの大群が餌の小魚に群がっているのを見たよ。その真ん中にいたのはペンギンだった。驚いたよ」と話します。
ダガン氏は、ピットウォーター(Pittwater)、ブロークン・ベイ(Broken Bay)、ホークスベリー川(Hawkesbury River)、そしてシドニー・ハーバー(Sydney Harbour)自体からクルーズ船を出して、キングフィッシュ、オーストラリアン・サーモン、カツオ、サワラ、マロウェイ(ジョウフィッシュ)などの釣りに案内してくれます。
釣れる魚は時季によって異なります。冬には海がサーモンで溢れますが、暖かい季節にはコシナガマグロなど思いがけないものも釣れます。ボタニー・ベイ(Botany Bay)からシドニー・ハーバーまで、魚が溢れているだけでなく、歴史や美しい風景にも恵まれた場所で釣りができます。ただし、シドニーだけで釣りに長い時間を費やさないでください。探検すべき場所は大陸中にあります。
ベスト・シーズン:通年。
スポーツ的なアドベンチャーに関心はありますか?素晴らしいゴルフ・コースについても、ぜひご覧ください。