ニュー・サウス・ウェールズ州を巡る12日間のロードトリップ
シドニー・ハーバー・ブリッジ(the Sydney Harbour Bridge)やボンダイ・ビーチ(Bondi Beach)などの代表的な名所以外の場所に思い切って繰り出しましょう。世界クラスのワイナリーや、驚愕の白い砂浜、一生に一度の動物との出会いが待っています。
原文:アリッサ・ジェンキンス
ニュー・サウス・ウェールズ州(New South Wales)の代表的な観光スポットは素晴らしいですが、シドニー・オペラ・ハウス(Sydney Opera House)やハーバー・ブリッジ(Harbour Bridge)以外にも州内各地にはたくさんの見どころがあります。この12日間の周遊旅行は、シドニーから北へ車で走り、オーストラリアで最も愛されるビーチや、活気溢れるワイン産地を走り抜け、古来の森林へと入り、今度は南下して目もくらむような白い砂浜を巡って、港湾都市シドニーに戻るルートです。
見どころ
- 美しいポート・スティーブンスで野生のイルカと泳ぐ
- ニュー・サウス・ウェールズ州で最も有名なワイナリーで世界クラスのワインを味わう
- ブルー・マウンテンズの感動的な峡谷やジュラ紀の雨林を探検する
基本データ
- 日数:12日間
- 距離:1,800km
- 移動手段:車
- 最寄りの主要都市:シドニー
- 料金:$$$$
1日目:シドニーからニューキャッスルへ
シドニーを早めに出発して、北東に1時間ドライブすると、パーム・ビーチ(Palm Beach)に到着。長い半島の先に位置し、透き通った海と邸宅が点在する緑溢れる通りに囲まれています。ビーチの向こう側にある800m続くウォーキング・トレイルを歩いてバレンジョイ灯台(Barrenjoey Lighthouse)まで向かい、灯台守のコテージからクーリンガイ・チェイス国立公園(Ku-ring-gai Chase National Park)を見渡せるパノラマの景色を楽しみましょう。ランチは地元の人お気に入りのザ・ボートハウス・パーム・ビーチ(The Boathouse Palm Beach)でいただきます。
食べ終わったら、ナビをM1経由で目的地はオーストラリアで2番目に古い街ニューキャッスル(Newcastle)に設定して、2時間半のドライブ再開。メアウェザー・ビーチ(Merewether Beach)で泳いだら、ニューキャッスルが世界的に有名なサーフィン・スポットである理由がわかるはず。波が苦手なら、遺産に登録されているオーシャン・プールのボギー・ホール(Bogey Hole)がおすすめです。夕食は海辺の人気レストランラスティカ(Rustica)で地中海風ディナーを堪能しましょう。夜はニューキャッスルの受賞歴を誇るザ・ラッキー・ホテル(The Lucky Hotel)に一泊。歴史あるパブを改装したホテルで、モダンな家具とラグジュアリーな寝具を完備したブティックルームが30部屋あります。
2日目:ニューキャッスルからポート・スティーブンスへ
一日の始まりは、ニューキャッスルから西へ約30分走り、オーストラリア・ブッシュの中にあるツリートップ・アドベンチャー・パーク(TreeTop Adventure Park)で家族揃ってはしゃぎましょう。ここではセルフガイドのロープコースやジップ・ラインをたどりながら、木のこずえの間を登ったり、くねくねと通り抜けたり、滑空したりと楽しめます。
地面に降りたら、北東へ1時間ドライブを続けて、美しく魅力的な海沿いの旅先ポート・スティーブンス(Port Stephens)へ。その長い砂浜と、南半球最大の移動する砂丘ストックトン砂丘(Stockton Sand Dunes)で有名な街です。4WDか四輪バイクツアーで砂丘探検を楽しむか、巨大な高さ40mの砂丘を滑り降りるサンドボーディングに挑戦して午後を過ごすのがおすすめ。
夜はポート・スティーブンスにあるジ・アンカレッジ・ホテル&スパ(The Anchorage Hotel & Spa)に泊まりましょう。ラグジュアリーな航海風インテリアの様々なスイートルームや、地産食材をふんだんに使ったウォーターフロントのレストランが2軒あります。
3日目:ポート・スティーブンスからハンター・バレーへ
ポート・スティーブンス - グレート・レイクス海洋公園(Port Stephens-Great Lakes Marine Park)の美しい海で野生のイルカと泳ぐ、一生に一度の冒険で一日を始めてみませんか。ウェットスーツとマスク、シュノーケル、軽めの朝食も含まれるツアーでは、ボートから濡れることなくこの魅惑の生き物を眺めることもできますし、海に飛び込んで、この知的で遊び好きな野生動物との出会いを満喫することもできます。
陸に戻ったら、90分西へ走って、オーストラリア屈指のワイン産地ハンター・バレー(Hunter Valley)へ。非常に優れたセミヨンとシャルドネを生産していることで知られるハンター・バレーで、有名なセラードアを車や自転車で巡り、オードリー・ウィルキンソン(Audrey Wilkinson)やハーカム・ワインズ(Harkham Wines)、クリンクルウッド・バイオダイナミック・ビンヤード(Krinklewood Biodynamic Vineyard)などのワイン生産大手の力量を味わってみましょう。ビールや蒸留酒が好きな方は、アイアンバーク・ヒル・ブリューハウス(Ironbark Hill Brewhouse)やハンター蒸留所(Hunter Distillery)がおすすめ。またビンバジン(Bimbadgen)やティノニー・ビンヤード・エステート(Tinonee Vineyard Estate)、ウィスパリング・ブルック(Whispering Brook)など多くのハンター・バレーのワイナリーでは、上質な食事とお洒落な宿泊も楽しめます。
4日目:ハンター・バレーからマッジーへ
双眼鏡とハンター・バレーの特産品をお弁当に詰めたら、車で西に2時間半、絵画のように美しいゴールバーン・リバー国立公園(Goulburn River National Park)にあるリーズ・ピンチ展望台(Lees Pinch lookout)へ出かけましょう。歩きやすい1kmのウォーキング・トラックを通りアクセス可能で、緑生い茂る森林やなだらかな川、砂岩の険しい谷間を見下ろせる展望エリアです。ワラビーやウォンバット、上空を舞う猛禽類など、固有の野生動物が現れるのをじっと待ってみましょう。
お弁当を食べたら、南西へ1時間走り、ニュー・サウス・ウェールズ州の素晴らしいワイン産地で、チャーミングな植民地時代の商業地域のマッジー(Mudgee)へ。ここでは夏がサクランボ狩りを楽しむのにいい季節。マッジーの爽やかなロス・ファミリー・オーチャード(Roth Family Orchard)で、果物狩りをして午後を満喫しましょう。
夜は、受賞歴を誇るジン・ハウス・レストラン(Zin House restaurant)にテーブルを予約するのがおすすめです。ここの料理に使用される食材のほとんどを栽培している自家製オーガニック農園とブドウ園を眺めながら、思い出に残るディナーをどうぞ。食後にオルビー&エッシャーズ(Alby & Esthers)ワインバーの丸石を敷いた中庭で、この地域の一流ワインをもうちょっと味わったら、10分ほど歩いて、モダンな13室のスイートがあるマッジーのスタイリッシュなペリー・ストリート・ホテル(Perry Street Hotel)に到着です。
5日目:マッジーからオレンジへ
朝のスタートは南へ2時間半ドライブして、オレンジ(Orange)へ。ここには目を見張るワイン産業と多数の食品生産所があり旅行者に人気の街です。パティナ(Patina)やフィリップ・ショウ(Philip Shaw)、スウィンギング・ブリッジ(Swinging Bridge)は必ず訪れて欲しいワイナリーです。
屋外で過ごしたいなら、オレンジから西へ20分、神秘的なボアノア洞窟(Borenore Caves)を探検してみるのはいかかでしょう。トンネル・ケーブ(Tunnel Cave)やアーチ・ケーブ(Arch Cave)の周りには歩きやすいウォーキング・トレイルがあり、ボアノア(Borenore)のピクニックエリアから歩いてすぐ。洞窟の珍しい岩石層と、黒やオレンジ、黄色の縞模様が見事です。
続いて、オレンジの美味しいグルメシーンをチェック。イタリアンとフレンチの影響を受けたメニューで名高いロリィ・レディーニ(Lolli Redini)レストランで特別なディナーもいいですし、もうちょっとカジュアルな雰囲気のパーシーズ・バー&キッチン(Percy’s Bar & Kitchen)もおすすめです。食後はデ・ルッシー・ブティック・ホテル(de Russie Boutique Hotel)でリラックス。美しい内装のスイートは高級寝具と最新設備が充実しています。
6日目:オレンジからカトゥーンバへ
東に2時間、オーストラリアの代表的観光スポット、ブルー・マウンテンズ(Blue Mountains)に足を踏み入れれば、その真ん中に位置するカトゥーンバ(Katoomba)に到着です。深くて急な峡谷と荘厳な岩石層に囲まれたこの素晴らしい景観を全て、シーニック・ワールド(Scenic World)で体感できます。世界で最も傾斜の激しい旅客鉄道シーニック・レールウェイ(Scenic Railway)に乗って、ガラス張りの客車で目を見張るジャミソン・バレー(Jamison Valley)へと下りましょう。谷底に着いたら、2.4kmのシーニック・ウォークウェイ(Scenic Walkway)を散策。ジュラ紀の雨林を通る高架遊歩道へと続きます。帰り道はシーニック・スカイウェイ(Scenic Skyway)に乗って、太古からある渓谷の上空270mを断崖の頂上から滑空しましょう。カトゥーンバ・フォールズ(Katoomba Falls)やスリー・シスターズ(Three Sisters)岩石層などの有名な地域の名所、さらに遠くを望む360度の絶景を楽しめます。
心落ち着く午後を過ごすなら、ザ・ハイドロ・マジェスティック・ホテル(The Hydro Majestic Hotel)でハイティーをどうぞ。歴史ある建物を蘇らせたこのホテルは、アールデコの建築とメガロン・バレー(Megalong Valley)を見渡せる壮大な景色が自慢です。また、ホテルの魅惑的な歴史と現代の快適さを組み合わせた67室ある豪華な客室に泊まってみてはいかかでしょう。
7日目:カトゥーンバからビルピンへ
カトゥーンバから景色の良い道を北へ曲がりくねり進むと、ブルー・マウンテンズ植物園(Blue Mountains Botanic Garden)に辿りつきます。無料のガイド付きツアーに参加するか自分自身で、28ヘクタールの息をのむほど美しい冷涼性気候の庭園を見て回りましょう。そこからもう20分走ると、果物が育つ村ビルピン(Bilpin)に到着。ビルピン・スプリングス・オーチャード(Bilpin Springs Orchard)に立ち寄って、新鮮なリンゴやオレンジ、梨、桃、プラムなどの果物狩りを楽しみましょう。道中のおやつにも最適です。ヒルビリー・サイダー(Hillbilly Cider)も忘れず訪れたい場所。果樹園を見渡す趣のある小屋で、ビルピン産リンゴで作ったシンプルなサイダーを味わえます。
続いて北に1時間走り、世界遺産に登録されたウォレマイ国立公園(Wollemi National Park)の感動的な原生地域へ。壮観な峡谷やそびえ立つ崖、荒々しい川、静かな森林、ボブ・ターナーズ・トラック(Bob Turners Track)など散策できるたくさんのブッシュウォークがあります。この6kmの周遊コースを歩けば、泳いで涼むのに最適な美しいコロ川(Colo River)へと導いてくれます。一日の終わりはクラジョン・ハイツ(Kurrajong Heights)にあるラスティック・スピリット(Rustic Spirit)のコテージでくつろぎ元気回復。または、ベラミング(Berambing)にあるエレガントなファームハウス・リゾートのスザロサ(Suzarosa)に家族全員で宿泊するのもいいでしょう。
8日目:ビルピンからボウラルへ
雄大なブルー・マウンテンズに別れを告げて、南へ2時間走り、サザン・ハイランズ(Southern Highlands)の洗練された中心地、ボウラル(Bowral)へ向かいましょう。絵に描いたような庭園と人気のワイナリーがあるボウラルは、オーストラリア人クリケット選手で伝説に残るバッツマン(打者)、サー・ドナルド・ブラッドマンの故郷でもあります。ブラッドマン博物館&国際クリケット名誉殿堂(Bradman Museum & International Cricket Hall of Fame)を訪ねてみましょう。史上最高のバッツマン「ザ・ドン(The Don)」を称えるだけでなく、体験型の展示や重要な記念品、クリケットの起源や、長い期間をかけて競技がどのように発展してきたかなども特集しています。
午後の残りの時間を使って、アンティークショップやギャラリー、ボウラルの中心街に彩を添える専門店のダーティー・ジェーンズ(Dirty Janes)やランセロット・ヒル・アンティークス(Lancelot Hill Antiques)などを見て回りましょう。
評価の高いビオタ・ダイニング(Biota Dining)で創作モダン・オーストラリア料理のテイスティング・メニューを味わったら、ペッパーズ・クレイギーバーン(Peppers Craigieburn)やザ・ヒドン・ドアー・ボウラル(The Hidden Door Bowral)など、ボウラルの夢のように素敵な宿泊施設でお休みください。
9日目:ボウラルからキャンベラへ
健康的な朝食をロー&ワイルド(Raw & Wild)でいただいたら、オーストラリアの革新的な首都キャンベラ(Canberra)を目指して南西へ2時間走りましょう。世界クラスの博物館や美食家が集うダイニング地区、カンガルーがそこら中にいる保護区などを全て楽しめる国際都市には、見どころが満載。その中で、中心街にある広大なバーリー・グリフィン湖(Lake Burley Griffin)では、40km以上の湖岸線を歩いたり自転車で回ったりできます。
午後は湖を見渡す、魅力的な国営施設の名所をお好みで選んで探索。オーストラリアの政治の本拠地国会議事堂(Parliament House)や15万点の芸術作品と貴重な品を所蔵しているオーストラリア国立美術館(National Gallery of Australia)などがあります。家族連れなら特に、科学やテクノロジーに関する200以上の体験型展示が魅力のクエスタコン(Questacon)がおすすめです。
夜は究極にモダンなイースト・ホテル(East Hotel)に宿泊してみてはいかがでしょう。キャンベラの一流クリケット開催地のマヌカ・オーバル(Manuka Oval)のすぐ近くにあります。
10日目:キャンベラからジャービス・ベイへ
オーストラリアの首都を早めに出発して、東へ2時間半走ると、海沿いの楽園ジャービス・ベイ(Jervis Bay)の美しい景色が出迎えてくれます。ランチはハスキッソン(Huskisson)に立ち寄り、地元施設のピルグリムズ・ベジタリアン・カフェ(Pilgrims Vegetarian Café)へ。気前よく大盛りのヘルシーで美味しい料理が味わえます。続いてブーデリー国立公園(Booderee National Park)の宝石として知られるマレーズ・ビーチ(Murrays Beach)を訪ねてみましょう。宝石と言われる理由も頷ける真っ白な砂と澄み切った海は、遊泳やシュノーケリングに最適です。美味しいピクニックバスケットと日陰のビーチ小屋をハイアムス・ビーチ・ハンパーズ(Hyams Beach Hampers)で手配して、ビーチ沿いでランチを満喫しましょう。
または、ジャービス・ベイ・ワイルド(Jervis Bay Wild)のイルカまたはホエール・ウォッチング・クルーズに参加するのもおすすめ。ジャービス・ベイの海には豊富な海の生き物が生息しているので、遊び好きなイルカやザトウクジラの群れが水しぶきをあげたりジャンプしたりする姿を見つけられるでしょう。クジラの移動シーズンは5月中旬から11月中旬までです。
アクティビティを一日満喫した後は、ロマンティックなハイアムス・ビーチ・シーサイド・コテージ(Hyams Beach Seaside Cottages)でくつろぐか、JBビーチ・ハウス(JB Beach Houses)でお好みの海沿いのホリデーハウスを見つけて滞在するのもいいでしょう。
11日目:ジャービス・ベイからウーロンゴンへ
なだらかな緑の丘をぬけて北へ50分行くと、歴史ある街べリー(Berry)にたどり着きます。旬の地産食材のブランチを素朴なサーモン・アンド・コー・イータリー(Salmon and Co Eatery)で楽しんだら、有名なべリー・ドーナッツ・バン(Berry Donut Van)でデザートもお忘れなく。続いてプリンセス・ハイウェイ(Princes Highway)を北へ20分走り、ゆったりした雰囲気の街キアマ(Kiama)に立ち寄って、海崖の大きな穴から、空中に向かって海水が20m噴き出す迫力満点のキアマ・ブロウホール(Kiama Blowhole)を眺めましょう。または近くのオーシャン・プールで泳いでリフレッシュもおすすめです。
ドライブを再開して北に40分走ると、美しいビーチと定評あるレストラン、粋なシティ・バーが見事にずらりと並んだ街、ウーロンゴン(Wollongong)に到着です。落ち着いた雰囲気のイラワラ・ブリュワリー(Illawarra Brewery)や心地よいワインバーのザ・スロスビー(The Throsby)から、ノース・ウーロンゴン(North Wollongong)にあるオーシャンフロントの景色ととびきりのカクテルが楽しめるペペズ・オン・ザ・ビーチ(Pepe’s on the beach)まで、ナイトライフ・スポットには事欠きません。ナイトライフを満喫するために、ペペズの真上にあるノボテル・ウーロンゴン・ノースビーチ(Novotel Wollongong Northbeach)に泊まりましょう。広々とした明るい客室があり、ビーチからすぐです。
12日目:ウーロンゴンからシドニーへ
ロードトリップ最後のアクティビティはスカイダイブ・シドニー - ウーロンゴン(Skydive Sydney-Wollongong)でスカイダイビングに挑戦。遊覧飛行を楽しんでから、上空約4.3kmから一歩踏み出しジャンプ。スカイダイビングで海岸の環境を見渡す静かな時間を体感し、ウーロンゴンで愛されているノース・ビーチ(North Beach)へ降り立ちましょう。
その後は、間違いなく絶品の朝食とビーチの景色を地元の人お気に入りのディギーズ(Diggies)カフェでどうぞ。そして140km続く沿岸の風景と王立国立公園(Royal National Park)の一部を通過する、壮観なグランド・パシフィック・ドライブ(Grand Pacific Drive)ルートを通り、シドニーへ戻ります。旅のハイライトは、ウーロンゴンの北20kmにある海にかかる665mの驚愕の橋、シー・クリフ・ブリッジ(Sea Cliff Bridge)。高くそびえる崖の周りを曲がりくねり走って、爽快な海岸沿いのドライブを満喫して旅を締めくくりましょう。