
メルボルンで人気のライブハウス
メルボルンはオーストラリアのライブミュージックの中心地と考えられています。市内ではジャズからロックンロールまで、毎晩のようにどこからか音楽が聞こえてきます。探す場所さえ知っていればいいのです。
原文:ポール・チャイ
ニック・ケイブ(Nick Cave)やクラウデッド・ハウス(Crowded House)からゴティエ(Gotye)やカイリー・ミノーグ(Kylie Minogue)まで、オーストラリアから世界に羽ばたいた著名ミュージシャンの何人かがメルボルンの出身です。最近ではシンガーソングライターのコートニー・バーネットが国際的な知名度を獲得し、米国のバラク・オバマ前大統領もファンの一人として知られています。メルボルンはセント・ジェロームズ・レーンウェイ・フェスティバル(St Jerome's Laneway Festival)発祥の地で、このフェスティバルは今ではシンガポールとニュージーランドでも大規模なイベントを開催しています。メルボルンの伝統でもあるライブミュージックシーンをぜひご自分で体験してみてください。
ジ・オールド・バー
ジ・オールド・バー(The Old Bar)はメルボルン中心部の北に位置するフィッツロイ(Fitzroy)にあります。この店の売りはライブミュージックで、この狭い空間では、薄暗い照明、むき出しのレンガの壁、ビンテージ家具、ピンボールマシン、破れたバンドポスターといった雰囲気の中、毎晩のようにバンドの演奏があります。オーナーはミュージシャンとミュージック愛好家の3人組で、メルボルンのライブミュージックシーンを牽引しているのが自慢です。パンク、インディーズ、ファンクといったバンドに出会えるかもしれません。その多くが結成したばかりですから、遠慮なく入って一緒に楽しみましょう。
チェリー・バー
AC/DCレーン(AC/DC Lane)にあるライブハウス以上にロックンロール的なものはあるでしょうか。チェリー・バー(Cherry Bar)は自称「世界一ロックンロールなバー」ですが、そう主張するだけのことはあります。毎晩バンドの演奏があり、深夜まで営業しているうえ、場所は暗くて薄汚れた地下室なのですから。店ではチェリーフェスト(Cherryfest)やチェリーロック(Cherry Rock)などのイベントも開催しています。このときにはAC/DCレーンを通行止めにして、メルボルンのど真ん中でミニミュージックフェスティバルが行われるのです。
ザ・スポッテッド・マラード
メルボルン北郊のブランズウィック(Brunswick)で人目を惹くレア・アンド・リクルーシブ・オフトネグレクテッド・レッサー・スポッテッド・マラード(Rare and Reclusive Oft-Neglected Lesser Spotted Mallard)(これがこの店のフルネーム)は、アトリウムに色ガラスの装飾を用い、客席は階層構造になっていて、にぎやかなシドニー・ロード(Sydney Road)でも最上級のパブ料理を提供する店です。クラフトビールが賞味でき、笑顔で応対してくれるスタッフがいて、そのうえオーストラリアの著名ミュージシャンの演奏を生で聴けるのです。地元の耳寄り情報:夕方から一杯やるには、沈む夕日や行き交うトラムを眺められるバルコニー席が最高です。
ハウラー
ハウラー(Howler)は、ブランズウィックの倉庫を工場のような内装に作り替えた店で、店内はオープンエアのフロントバー(壁に自転車ラック)、中央の屋根付きバー(卓球台とボックス席あり)、奥のパフォーマンス用スペースに分かれています。奥のスペースでは、オーストラリアのヒップホップやインディーズ・ロックなど、多彩なプログラムが組まれます。さらに、客が飛び入りで演奏できるオープンマイク・ナイトというイベントも開催されます。バーの冷蔵庫には地元のクラフトビールがたっぷりストックされているので、愛想のいいバーテンダーにおすすめの銘柄を聞いてみるといいでしょう。
ノースコート・ソーシャル・クラブ
ノースコート・ソーシャル・クラブ(Northcote Social Club)の奥にある広いテラス席で、ショーが始まるのを待ちながらナチョスやポップコーンをつまむのはいかがでしょう。メルボルン北郊のリノベーションしたこのパブでは、インディーズのロックバンドが人気です。隣には居心地のいいバンドルームがあり、国内外のバンドの予定表に加えて、活動を始めたばかりのバンドの無料ライブの予定もわかるようになっています。
コーナー・ホテル
20年というもの、ライブミュージックのファンは、メルボルン市内東部のリッチモンド(Richmond)地区にあるコーナー・ホテル(Corner Hotel)に集まっていました。このホテルには早い時間に行って、新しくリノベーションされたルーフトップ・バーを目指しましょう。ここで料理長を務めるシャノン・ライスが、豚足の燻製(丸ごと)のような大皿料理と、リンゴとヒメウイキョウのサラダ、ピクルス、マヨネーズ、ミニミルクバンを盛り合わせた新メニューを出しています。食事の後は、市内最大級で、人気も高いバンドルームに向かいましょう。
パレス劇場
アール・デコ様式のこの劇場は、メルボルン市内のセント・キルダ(St Kilda)地区の海沿いにあり、1920年代に映画館としてオープンしました。1950年代にはバレエやオペラの劇場に転用され、その後1960年代にライブハウスに変わりました。3,000人近い収容能力を誇るパレス劇場(Palais Theatre)では、ローリングストーンズからビーチボーイズまで、世界有数のビッグ・ネームの公演が行われてきました。そして現在も、新世代の音楽愛好家の視線を集め続けています。
ザ・トート・ホテル
市の郊外のコリングウッド(Collingwood)地区にあり、「ロックのふるさと」とも呼ばれるザ・トート(The Tote)は、1980年代からずっとライブミュージックに公演の場を提供してきました。2010年、同ホテルは免許法の改正により閉鎖を余儀なくされました。市内全域でこれに対する抗議の声が上がり、1万人以上が参加した集会が功を奏して店は再開することができたのです。トートを救うためにこのような運動が起こったことを見ても、メルボルンの人々がどれほどライブミュージックに情熱を傾けているかがわかります。
バーズ・ベースメント
メルボルンでいちばん新しいジャズ・バーがバーズ・ベースメント(Bird's Basement)で、アルトサックス奏者チャーリー・パーカーにインスパイアされたニューヨークの有名なナイトクラブ、バードランド(Birdland)の姉妹店にあたります。バードランドと同様、地下にあるこの店では一晩に2回ディナーショーを行っています。ショーでは世界的な名声のあるジャズやファンクのミュージシャンの演奏を堪能した後、モダンイタリア料理を楽しむことができます。