
アウトバックのレッドセンターを巡る7日間のロードトリップ
中央オーストラリア古来の景色をアリス・スプリングス、キングス・キャニオン、そしてウルルを通り抜けながらレッドセンター・ウェイ経由で巡りましょう。
原文:ジェニファー・ピンカートン
人のいない水遊びのできる泉、印象的な峡谷や岩が織りなすまるで別世界のような光景。それらすべてがこの唯一無二の古来からの地形の一部なのです。空からこの絶景を満喫したり、赤土の散策道を歩いてみたり、またはラクダの背に乗って夕日を眺めましょう。
見どころ
- 赤い崖の間に挟まれた水場エルリー・クリーク・ビッグ・ホールで泳ぐ
- キングス・キャニオンの驚くほど緑豊かな環境を探る
- ウルルとウルル - カタ・ジュタ砂漠の一枚岩に驚嘆
基本データ
- 日数:7日間
- 距離:1,148km
- 移動手段:車
- 最寄りの主要都市:アリス・スプリングス
- 料金:$$
1日目:アリス・スプリングス

ノーザンテリトリー、レッドセンター、アリス・スプリングス地域、熱気球 © Outback Ballooning
7日間の旅の始めにまずは、アウトバック・バルーニング(Outback Ballooning)で熱気球に乗って、日の出とともに絵に描いたような美しいアリスの山脈の眺めを楽しみましょう。夜明け前にシャトルバスが宿泊施設まで迎えに来て、町の南15kmのところにあるオーウェン・スプリングス・リザーブ(Owen Springs Reserve)まで送ってくれます。静かな上空での60分間は、眼下に広がる雄大なアートキャンバススタイルの風景を楽しむのには十分すぎる時間です。色鮮やかなセキセイインコの群れが飛行するのを眺めたり、地上でカンガルーが砂漠の草むらを走り抜ける様子も観察できます。その後、町の中心部にあるオリーブ・ピンク(Olive Pink)植物園へ向かいます。この風光明媚な保護区は、先住民アボリジニの権利のため初期の頃から活動していたオリーブ・ムリエル・ピンク(Olive Muriel Pink)によって60年以上前に設立されました。庭園には様々なオーストラリアの砂漠植物や、新鮮な料理とおいしいコーヒーで有名な素朴な屋外カフェ、ビーン・ツリー・カフェ(Bean Tree Café)があります。スモークワトルシード(オーストラリア原産の食材)カンガルーサラダのビートルート添えやラブネーチーズをお試しください。午後は、アリス・スプリングス・デザート・パーク(Alice Springs Desert Park)で、砂漠の野生動物を眺めながら過ごすのもいいかもしれません。ここでは、ディンゴ、テンニョインコ、そしてマラを観察できます。マラは絶滅の危機に瀕している中央オーストラリアの有袋類で、毛でおおわれた体長30cmほどの小さなカンガルー科の動物です。
2日目:アリス・スプリングス ~ グレン・ヘレン

ノーザンテリトリー、レッドセンター、西マクドネル山脈、エルリー・クリーク・ビッグ・ホール © Tourism NT
砂漠の奥深くへ進む前に、アリス・スプリングスで最高のカジュアルなカフェ、ページ27(Page 27)で、ボリュームたっぷりの朝食を食べましょう。街のクリエイティブな人々に愛されている賑やかで雰囲気のいいカフェです。その後は、明るく大胆な現代の先住民アボリジニアートをパプニャ・トゥーラ・アーティスツ(Papunya Tula Artists)やムバンチュア・ギャラリー(Mbantua Gallery)で鑑賞。どちらの場所も、車の乗り入れが禁止されているトッド・モール(Todd Mall)地区にあるので、レンタカーで出かける前に行っておきましょう(この旅の後半では4WD車が必要になります)。80kmほど町の外まで足を延ばせば、広大な黄土色の土と柔らかい緑のユーカリに囲まれた現地で水遊びができる泉、エルリー・クリーク・ビッグ・ホール(Ellery Creek Big Hole)があります。この天然のプールは、西マクドネル山脈(West MacDonnell Ranges)、通称ウエスト・マックス(West Macs)の峡谷を通り抜けています。さらに60km走って、景色を楽しみながらちょっと歩けば、スタンドリー・キャズム(Standley Chasm)に到着します。ここで、急峻な絶壁が午後の日差しを浴びて燃えるような赤色に染まる様子を見ることができます。今夜はロッジスタイルやキャンプ用宿泊施設が整ったグレン・ヘレン・ロッジ(Glen Helen Lodge)で過ごしましょう。
3日目:グレン・ヘレン ~ キングス・キャニオン

ノーザンテリトリー、レッドセンター、西マクドネル山脈、オーミストン渓谷 © Tourism NT
近くにあるオーミストン渓谷(Ormiston Gorge)はゴーストゴムの木(オーストラリアの高木)や白砂が敷き詰められた水場で知られる静穏な場所。ここでリラックスして一日を始めましょう。この渓谷では、素晴らしいブッシュウォーキングを楽しめます。とりわけ、所要時間5時間のオーミストン・パウンド・ウォーク(Ormiston Pound Walk)は格別です。もっと短時間の散策がよければ、渓谷の景色が一望できる所要時間20分のゴースト・ガム・ルックアウト(Ghost Gum Lookout)トレイルに行ってみましょう。渓谷のキオスクでランチや車内で食べるおやつなどの買い出しを済ませたら、さあここからいよいよ4WD車モードに切り替えです。曲がりくねったレッドセンター・ウェイ(Red Centre Way)は、ウエスト・マックスからキングス・キャニオン(Kings Canyon)へ向かって延びており、一番進み具合の遅い道路となるでしょう。距離にすればわずか225kmですが、約4時間半ほどかかります。(あるいは、2WDでの運転となると、ラスターハイウェイ(Lasseter Highway)をキングスキャニオンまで走るオプションがありますが、これだと約7時間半を要します。)メレニー・ループ(Mereenie Loop)を利用する場合は、トノララ(ゴスブラフ)にある1億4,000万年前の隕石の衝突でできた幅が20kmもあるクレーターに立ち寄ってみてください。この周辺地域は、天の川で踊っていた女性が赤ちゃんを産み落とした場所であると信じられており、先住民アボリジニのウェスタン・アランテ族(Western Arrernte)にとって特別な場所となっています。ワタルカ国立公園(Watarrka National Park)にあるキングス・キャニオンに到着したら、一番近くの宿泊施設であるキングス・キャニオン・リゾート(Kings Canyon Resort)でテントを張るかホテルの部屋で休みましょう。
4日目:キングス・キャニオン

ノーザンテリトリー、レッドセンター、ワタルカ国立公園、キングス・キャニオン・リム・ウォーク © Tourism NT
早起きしたら、全長6.4kmのキングス・キャニオン・リム・ウォーク(Kings Canyon Rim Walk)へ出かけましょう。思わず圧倒される砂岩の断崖、ヤシの木が生い茂る大地の裂け目、谷間、砂漠が織り成す広大な絶景が目の前に広がります。まずは急な上り坂から始まり、峡谷の断崖をたどったら、ガーデン・オブ・エデン(Garden of Eden)の水場、そしてロスト・シティ(Lost City)の風化した岩のドームへと下っていきます。時折、視線を下に向けるのをお忘れなく。キングス・キャニオンは、かつて先史時代には海中にあったため、岩のふもとにピンク色がかった海洋化石を見ることができます。昼食後は、ワタルカ国立公園にあるあまり知られていない2.4kmのキャスリーン・スプリングス・ウォーク(Kathleen Springs Walk)へ散策に出かけるのはどうでしょう。高く生い茂った草むらに囲まれた水場へと続く舗装された道の両側では、枝の間でさえずっているフェアリーレン(オーストラリアの鳥)を鑑賞できます。
5日目:キングス・キャニオン ~ ウルル ー カタジュタ国立公園

ノーザンテリトリー、レッドセンター、ウルル - カタ・ジュタ国立公園、サウンズ・オブ・サイレンス © Tourism NT
レッドセンター・ウェイへ戻り、南へ向かってウルル - カタ・ジュタ国立公園(Uluṟu-Kata Tjuṯa National Park)まで300kmの午前のドライブを楽しみましょう。そして、エアーズ・ロック・リゾート(Ayers Rock Resort)でチェックインを済ませます。ここには、キャンプサイトやサービス付きのアパートから、豪華な宿泊施設であるセイルズ・イン・ザ・デザート(Sails in the Desert)やロンギチュード131(Longitude 131)など、あらゆるタイプが揃っています。午後は、ドーム型の岩で「たくさんの頭」を意味するカタジュタ(Kata Tjuta)の見学に出かけてみませんか。ここで一番おすすめのコースは、7.4kmのバレー・オブ・ザ・ウィンズ(Valley of the Winds Walk)トレイルです。このループは、そびえ立つ岩を通り抜けて柔らかな緑の牧草で覆われた谷に通じています。難関なコースではありますが、歩きごたえがあります。飲料水や虫よけなどを十分に用意しましょう。もう少し短い距離の方がよければ、全長2.6kmのワルパ渓谷ウォーク(Walpa Gorge walk)のコースはどうでしょう。特に、午後の太陽の光が峡谷いっぱいに差し込む様子は実に魅惑的です。夜は、サウンズ・オブ・サイレンス(Sounds of Silence)ツアーで、星空の下で食事をしましょう。屋外に用意されたテーブルで、さえぎるもののないウルルの絶景をお楽しみいただけます。食事の後には「スター・トーカー」と呼ばれるガイドが、頭上にきらめく満天の星空を案内してくれます。
6日目:ウルル

ノーザンテリトリー、レッドセンター、ウルル - カタ・ジュタ国立公園、ウルル © Tourism NT
ウルル・キャメル・ツアーズ(Uluru Camel Tours)で夜明けのキャメル・トレッキングに参加して、昇る太陽にウルルが照らされる様子を見てみませんか。ビリー・ティー(ビリーと呼ばれる空き缶で入れる紅茶)と焼きたてのビア・ブレッドの朝食を味わいながら朝日を浴びて輝く岩の風景を楽しみましょう。午前中、ウルルの風景は、落ち着いた色合いから真っ赤な輝きへと移り変わり、気温次第でしばしば霧がかかることもあります。さあ、それではベースウォークで10.6kmほど岩の周囲を歩いてウルルに近づいてみましょう。この鮮やかな赤い一枚岩を間近で見ることは、何ものにも代え難い経験です。比高約350mなので、フランスのエッフェル塔よりも高い岩ということになります。ロッジガイドと一緒にマラ(Mala)コースを出発します。1kmの散策で、地元の人々に心から愛されるトーテム動物をテーマとするこの岩にまつわる先住民アボリジニの物語が体験できます。このトーテムは、最初にアリス・スプリングス・デザート・パークで出会ったであろう小さなマラカンガルーを指します。ガイド付き散策では、ウルルの地理的特徴を探索し、ムティジュル渓谷(Mutitjulu Gorge)の穏やかな水場が最終目的地となります。ウルルでの一日の締めくくりには、2つの指定されたビュースポットのうちの一つから沈む夕日を眺めましょう。午後のこの時間帯には、様々な異なる色合いが増しながら日没とともにだんだんと薄れていきます。この頃には、もうすでにこの広大な砂漠公園のまるで別世界のような雰囲気にうっとりし、その魅力に完全にすい込まれていることでしょう。
7日目:キングス・キャニオン ~ ウルル ー カタジュタ国立公園 ~ アリス・スプリングス

ノーザンテリトリー、レッドセンター、カーティン・スプリングス・ステーション、マウント・コナー © Tourism NT
先住民アボリジニのホスピタリティ研修生が接客を務めるクラタ・アカデミー・カフェ(Kulata Academy Café)で、ユララで最高のコーヒーを味わいましょう。445km先のアリス・スプリングスへ戻る途中で、まず最初にマウント・コナー(Mount Conner)展望台に立ち寄ってみましょう。広大な塩湖の景色を眺めることができます。遠くから見ると、この馬蹄形の山は近くにあるかの有名な赤岩(ウルル)によく似ています。こうした理由で、この山には「フールル」(Fooluru)というニックネームがついています。多くの観光客がだまされることで有名です。道路に戻ったら、世界で2番目に背が高い鳥類といわれる野生のエミューを見逃さないようにしましょう。アリス・スプリングスからほんの100kmほど手前まで来たら、ヘンバリー隕石保護区(Henbury Meteorites Conservation Reserve)に立ち寄ってください。4,700年前に隕石が地球に落下した際に、ここの地表に12個のクレーターが形成されました。その後、アリス・スプリングスに到着する前にハイウェイを下りると、ジェームズ山脈(James Range)の一部をなすレインボー・バレー保護区(Rainbow Valley Conservation Reserve)で砂岩の絶壁が織り成す光景を楽しむことができます。この色とりどりの模様は、夕陽を浴びると特に美しく輝くことがよくあります。それはまるであなたに旅の終わりの挨拶をしているかのよう。
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