
シドニーのグレート・コースタル・ウォーク
シドニーの美しい海岸線を、北のバレンジョイから南のクロヌラまで縦断する8日間の冒険の旅に出かけましょう。
原文:エリー・シュナイダー
北のバレンジョイ(Barrenjoey)から南のクロヌラ(Cronulla)まで続く、シドニーの壮大な海岸線を歩いてみましょう。北から南にたどることも、南から北に行くこともできます。一日歩いていくつかの区間を踏破してもよいし、8日間で端から端まで歩き通してもよいでしょう。
見どころ
- 太平洋の壮大な光景を見る
- 人のいない静かなビーチや天然岩のプールで泳ぐ
- シドニーの歴史を探索する
基本データ
- 日数:8日間
- 距離:100km
- 移動手段:徒歩
- 最寄りの主要都市:シドニー
- 料金:$$
1日目:バレンジョイからアバロン

ニュー・サウス・ウェールズ州、パーム・ビーチ、ボートハウス © Lawrence Furzey, Destination NSW
この13kmのトレイルは、シドニーの北海岸(Northern Beaches)に位置するパーム・ビーチ・ゴルフ・クラブ(Palm Beach Golf Club)の入口からスタートし、切り立った岬や穏やかなビーチを通り抜けていきます。バレンジョイ岬に登って1881年に建設された灯台までたどり着いたら、ひと休みしてピットウォーターと太平洋の景観を楽しんでください。背後にはブロークン・ベイとクーリンガイ・チェイス国立公園(Ku-ring-gai Chase National Park)の緑濃い森が広がり、前方には北海岸が日の光を受けて輝いています。スマグラーズ・トラック(Smugglers Track)をたどってパーム・ビーチ(Palm Beach)に戻り、人気テレビシリーズ「ホーム・アンド・アウェイ(Home and Away)」で一躍有名になったサマーベイ・サーフクラブ(Summer Bay Surf Club)に立ち寄りましょう。ビーチ南端の天然岩のプールでひと泳ぎするか、いつも賑わっているボートハウスのカフェでひと休みした後、岬を越えてマッケイ保護区(McKay Reserve)を通り、ホエール・ビーチ(Whale Beach)に向かいます。シドニーの北海岸での最高地点バンガリー・ヘッド(Bangalley Head)を過ぎると、アバロン・ビーチ(Avalon Beach)に到着です。ビーチサイドのラグジュアリー・アパートメントに泊まるか、バスに1時間揺られて市街地に戻ります。
2日目:アバロンからナラビーン・レイク

ニュー・サウス・ウェールズ州、シドニー、モナ・ベール・ビーチ © Lawrence Furzey, Destination NSW
この13kmのトレイルでは、人影のない静かなビーチと太平洋の雄大なパノラマをお楽しみください。アバロン・ビーチ・サーフ・ライフセービング・クラブ(Avalon Beach Surf Lifesaving Club)を出発して、ビルゴラ・ヘッド(Bilgola Head)を越えたビルゴラ・ビーチ(Bilgola Beach)まで行けば、たった一人でビーチを独占できるかもしれません。一息入れて泳いだりボディサーフィンをしたりするのに最適のスポットです。ビーチの北端ではサーフィンもできます。南端の岬を回ってニューポート・ビーチ(Newport Beach)まで歩きます。ここには、 中世風のバンガン・キャッスル(Bungan Castle)が海に面して立ちはだかっています。切り立った崖の下にはあまり知られていないバンガン・ビーチ(Bungan Beach)が広がりますが、このビーチに行くにはマイオラ・ロード(Myola Road)から続く小道をたどるしか方法がありません。モナ・ベール・ヘッドランド(Mona Vale Headland)からも絶景が楽しめます。ボンジン・ボンジン(Bongin Bongin)、モナ・ベール、ワーリーウッド(Warriewood)といったビーチをぶらついてみましょう。テュリメッタ・ヘッド(Turimetta Head)からは、セントラル・コースト(Central Coast)までがずっと見渡せます。トラックはナラビーン・ヘッド(Narrabeen Head)を通り、ナラビーン・ラグーン(Narrabeen Lagoon)に沿ってナラビーンの市街地に至ります。ここにはレストランや公共交通、宿泊施設があります。
3日目:ナラビーン・レイクからマンリー

ニュー・サウス・ウェールズ州、マンリー、フィーカ・スウィディッシュ・キッチン © Lawrence Furzey, Destination NSW
今日のハイキングコースは12kmで、岬を越え、どこまでも続くかに見えるビーチと4つのラグーンを通過します。ナラビーンとコラロイ(Collaroy)のビーチを北に向かいます。ひと続きのこのビーチは、ハーバーのこちら側では最長の砂浜になっています。ロング・リーフ・ヘッドランド(Long Reef headland)からは、ロング・リーフ(Long Reef)ビーチとディー・ホワイ(Dee Why)ビーチを通る海岸沿いのルートをたどるか、ディー・ホワイ・ラグーン(Dee Why Lagoon)近くの砂丘を通ります。ディー・ホワイ・ビーチでは、地元のサーファーと交流したり、オリンピックサイズの海水プールで泳いだりできます。ディー・ホワイ・ヘッド(Dee Why Head)に続く遊歩道をたどって崖の上からの雄大な眺めを堪能したら、カール・カール(Curl Curl)ビーチとフレッシュウォーター(Freshwater)ビーチの方に降りていきましょう。岬からの道はノース・ステイン(North Steyne)、そしてマンリー(Manly)へと続きます。ここからフェリーに乗ってサーキュラー・キー(Circular Quay)に行ってもいいし、ここに泊まってビーチサイドの雰囲気を楽しむのもよいでしょう。マンリーにはお洒落なカフェ(フィーカ・スウィディッシュ・キッチン(Fika Swedish Kitchen)、ベアフット・コーヒー・トレーダーズ(Barefoot Coffee Traders)がおすすめです)やウォーターフロントバーがたくさんありますし、海辺の宿泊施設も充実しています。
4日目:マンリーとノース・ヘッド

ニュー・サウス・ウェールズ州、シドニー、フェアリー・バウアー © Andrew Gregory, Destination NSW
今日は眺めのよい道を12km歩き、マンリーのビーチを抜けてノース・ヘッド(North Head)を目指します。砂岩でできたこの岬は、シドニー・ハーバー(Sydney Harbour)へのドラマチックな玄関口になっています。コルソ(Corso)からマンリー・ビーチ、フェアリー・バウアー(Fairy Bower)、シェリー・ビーチを散策した後、シドニー・ハーバー国立公園(Sydney Harbour National Park)の中を登っていきます。やがて、かつては砲兵隊の学校(School of Artillery)があったノース・ヘッド・サンクチュアリ(North Head Sanctuary)と、世界遺産に登録されている旧検疫所(Quarantine Station)の建物が見えてきます。道はそのままノース・ヘッドまで続きます。手つかずの自然が残るこの半島に、かつては先住民アボリジニのガヤマイガル族(Gayamaygal)が暮らしていました。この人々が残した貝塚や線刻画を探したり、ハーバーや北海岸の美しい景色を眺めたりしてみてください。マンリー・コーブ(Manly Cove)の方へ下ってコリンズ・ビーチ(Collins Beach)からマンリー・ワーフ(Manly Wharf)まで歩けば、サーキュラー・キー行きのフェリーに乗ることができます。もっと歩けそうなら、ブッシュの中を縫うように続く道をさらに10km歩き、クロンター・ビーチ(Clontarf Beach)やフィッシャー・ベイ(Fisher Bay)を通ってスピット橋(Spit Bridge)まで行ってみましょう。
5日目:サーキュラー・キーからサウス・ヘッド

ニュー・サウス・ウェールズ州、シドニー、王立植物園 © Steve Back, Destination NSW
シドニー・ハーバー南東部の海岸線に沿って歩く17kmのコースで、シドニーの代表的な名所を見て回ることができます。まずサーキュラー・キーからシドニー・オペラ・ハウス(Sydney Opera House)まで歩き、木々の緑がまぶしい王立植物園(Royal Botanic Garden)を通ってミセス・マッコーリーズ・ポイント(Mrs Macquaries Point)に行ってみましょう。絵画のように美しいウルムルー・ワーフ(Woolloomooloo Wharf)をゆっくり散策したら、人気のお店オットー(Otto)かチャイナ・ドール(China Doll)でランチにしましょう。ガーデン・アイランド(Garden Island)海軍基地の横を北に向かうとポッツ・ポイント(Potts Point)です。コロニアル様式のエリザベス・ベイ・ハウス(Elizabeth Bay House)を訪ねたり、ラッシュカッターズ・ベイ(Rushcutters Bay)で大型ヨットを見物したり、ダーリング・ポイント(Darling Point)の海辺の邸宅を見て回ったり、いろいろな楽しみ方があります。ダブル・ベイ(Double Bay)とローズ・ベイ(Rose Bay)の2つの湾を通ってボークルーズ(Vaucluse)に入ると、素晴らしい港の景観が広がります。ワトソンズ・ベイ(Watsons Bay)まで行けば、アフタヌーンティーが楽しめるティー・ガーデンズ(Tea Gardens)があります。冷たい飲み物がお好みならワトソンズ・ベイ・ブティック・ホテル(Watsons Bay Boutique Hotel)がいいでしょう。ひと休みしたら、キャンプ・コーブ(Camp Cove)を経てサウス・ヘッド(South Head)まで行ってみましょう。近道をしたいなら、ボンダイ・ビーチ(Bondi Beach)を目指しましょう。ボンダイ・ビーチからは、シドニーの中心街まで急行バスが運行されており、所要時間は約30分です。
6日目:サウス・ヘッドからクロベリー

ニュー・サウス・ウェールズ州、シドニー、サウス・ヘッド © Andrew Gregory, Destination NSW
グレート・コースタル・ウォークのこの区間は14kmで、打ち寄せる波を受けてそびえる砂岩の崖、海軍の歴史建造物、シドニーで人気の高い東側の湾やビーチをめぐります。サウス・ヘッドからスタートします。ここで赤と白の縞模様のホーンビー灯台(Hornby Lighthouse)を見てから、オーストラリア海軍ワトソン基地(HMAS Watson Naval reserve)を通ってザ・ギャップ(The Gap)に向かいます。ここからは、延々と続くシドニー湾南岸の櫛の歯のような崖線が眺められます。海岸沿いに航行してハーバーに出入りする船や、5月から11月にかけては回遊するクジラも見ることができます。下見板のついた漁師小屋を眺めたり、岬に点在する古い大砲をのぞき込んだり、雄大なダイアモンド・ベイ(Diamond Bay)に設けられた木造の遊歩道を歩いたりしましょう。道はドーバー・ハイツ(Dover Heights)で海岸を離れ、 ノース・ボンダイ(North Bondi)で再び海に出ます。ボンダイ・ビーチ(Bondi Beach)のプロムナードを散策したら、タマラマ(Tamarama)やブロンテ(Bronte)を通ってクロベリー・ビーチ(Clovelly Beach)に至る曲がりくねった崖上の道を進みます。静かな入り江、ゴードンズ・ベイ(Gordons Bay)でひと泳ぎ。ここはダイビング・スポットとしても有名です。
7日目:クロベリーからラ・ペルーズ

ニュー・サウス・ウェールズ州、シドニー、ラ・ペルーズ、ベア島 © Daniel Boud, Destination NSW
6~7時間かけて歩く17kmのコースですが、十分に景色を楽しむには、公共交通機関も利用して余裕を持たせるのがいいでしょう。クロベリーから港町クージー(Coogee)に向かいます。ここでは歴史あるワイリーズ・バス(Wylies Baths)で泳いだり、クージー・パビリオン(Coogee Pavilion)で景色を眺めながらランチを楽しんだりしましょう。静かな入り江ルアライン・ベイ(Lurline Bay)からミストラル・ポイント(Mistral Point)まで歩きます。この辺りは5月から11月にかけて、ホエールウォッチングの絶好のポイントになります。いつも高い波が押し寄せているマルーブラ・ビーチ(Maroubra Beach)を過ぎ、リトル・ベイ地区(Little Bay)に入ります。ヘンリー・ヘッド(Henry Head)を通り過ぎ、ラ・ペルーズに向かいましょう。ここには先住民アボリジニの物語が数多く伝わっていますが、それと同時にフランスやイギリスから入植した人々の話も残されています。ラ・ペルーズ博物館(La Perouse Museum)でそんな歴史を学んだり、ベア島(Bare Island)の古い要塞を探検したりするのも楽しいのではないでしょうか。映画「ミッション:インポッシブル2」を思い出すかもしれません。コースの次の区間を歩くには、ここからカーネル(Kurnell)までタクシーに乗ることになります。
8日目:カーネルからクロヌラ

ニュー・サウス・ウェールズ州、シドニー、クロヌラ・ビーチ © Andrew Smith, Tourism Australia
ヨーロッパ人が定住する前のシドニーの歴史を振り返りながら、気持ちのよい13kmのコースを歩きます。クック船長の上陸地点(Cook’s Landing Place)はオーストラリア植民地誕生の地。ここから歩き出し、先住民アボリジニの史跡が30ヶ所以上点在するカメイ・ボタニー・ベイ国立公園(Kamay Botany Bay National Park)を抜けていきます。先住民アボリジニのグウィアガル族(Gweagal)やグーラワル族(Goorawal)が残した岩絵や埋葬の跡、斧で削った溝を見に行きましょう。一人で行ってもいいですしアボリジニのガイドによるツアーに参加することもできます。ダイビングスポットとして人気の高いインスクリプション・ポイント(Inscription Point)周辺にはいくつかの周回コースがあります。その一つをたどるか、そのまま雄大なカーネル半島(Kurnell Peninsula)をまわってベイリー岬灯台(Cape Baily Lighthouse)まで行きましょう。荒々しい砂丘や波静かなラグーン、再生されたブッシュランドを越えていくと、砂がまぶしく輝くクロヌラ・ビーチ(Cronulla Beach)に到着です。クロヌラからシドニーの市街地までは、電車で約1時間です。