ニュー・サウス・ウェールズ州、マンゴ国立公園、ウォールズ・オブ・チャイナ © Destination NSW
オーストラリアの世界遺産ガイド
古代から残るアボリジナルピープルの遺跡から大迫力の多雨林まで、オーストラリアの広大な自然と文化遺産の巡り方をご紹介します。
ビクトリア州の南西部に住むグンディッジマラ族(Gunditjmara)の人々は、6,600年以上前にバジ・ビム(Budj Bim)で魚やウナギを養殖するために、石造りの家屋や複雑な養殖システムを構築しました。この遺跡は、世界最古の人間の定住地の一つであり、アボリジナルピープルやトレス海峡諸島の人々が今日に伝える、先祖代々の土地とのダイナミックな関係を示しています。グンディッジマラのガイドと一緒にこの豊かな景観を存分に楽しんだ後は、テイ・ラック養殖センターに立ち寄り、地元のブッシュフードを試食してみましょう。
過去に遡り、オーストラリアの囚人が住み働いていた、印象的な刑務所の建物、兵舎、広大な地所など、今では廃墟となった刑場遺跡で流刑史の始まりに想いをはせましょう。これは、オーストラリアならではの流刑史の興味深いタイムカプセルです。ホバート(Hobart)から車で90分のところにあるポート・アーサー(Port Arthur)は、オーストラリアで最も保存状態のよい囚人遺跡群の一つです。フリーマントル刑務所(Fremantle Prison)の夜間見学ツアーに参加したり、シドニー・ハーバー(Sydney Harbour)の歴史あるコカトゥー島(Cockatoo Island)で不気味な夜を過ごしたりしてみてはいかがでしょうか。
その昔、オーストラリアの動物は巨大でした。車と同じくらい大きいウォンバットや、体重200kgのカンガルーが闊歩していました。これらはナラコーテ洞窟(Naracoorte Caves)で発掘された驚くべき化石のほんの二つの例です。発見された化石は、何代もの氷河期から人類の到来までの間にわたっており、最古のものは50万年前までさかのぼります。これまでに発見された、公園内にある28の洞窟のうち4つは一般公開されており、印象的な巨型動物類の化石が見ごたえたっぷりに復元されています。洞窟を見学するときは、世界遺産ツアー(World Heritage Tour)に参加して、化石発掘の現場を体験し、研究室で働く古生物学者とのおしゃべりを楽しみましょう。
世界最大の砂の島でありブッチュラ族(Butchulla)の人々の故郷であるガリ(K’gari)は、文化的観点からも生態学的観点からも重要な場所です。移動する砂丘から熱帯雨林まで、自然の景観の多様性は目を見張るほどです。鮮やかな青色の湖でのんびり浮かんで過ごしたり、森の大きな木々の下を歩いたり、4WDでビーチを走ったり。ディンゴを見かけることもあるかもしれません(決して近づいたり餌を与えたりしないでください)。6〜8日間のガリ・グレート・ウォーク(K'gari Great Walk)ではすべての見どころに行くことができますが、すべてに行く必要はありません。自然に配慮したキングフィッシャー・ベイ・リゾート(Kingfisher Bay Resort)に滞在し、毎日違ったウォークを楽しんでみましょう。
この緑豊かな雨林のコレクションは、恐竜が歩き回っていた太古の時代以来、比較的変わらない地球上で唯一の場所のひとつです。これは世界最大の亜熱帯雨林集合体であり、世界のナンキョクブナ冷温帯雨林のほぼすべてがこの地域に含まれています。ブリスベンから南へ車で2時間のところにあるラミントン国立公園(Lamington National Park)内に位置するオライリーズ・レインフォレスト・リトリート(O’Reilly’s Rainforest Retreat)で緑の森を堪能しましょう。山の上にあるリトリートでは、セグウェイ・サファリから、グローワーム(土ボタル)ツアーまで、さまざまなガイド付きウォーキングやアクティビティを提供しています。
グレート・バリア・リーフ(Great Barrier Reef)は世界最大の生きた構造物であり、地球上で最も複雑な自然生態系の一つです。ここには、3,000のサンゴ礁、600の島々、300のコーラル・キー、そして沿岸の150のマングローブの島々があり、その数は驚くほどです。これらすべてが作り出す壮大な景観の中には、1,625種類の魚、600種類のサンゴ、30種類以上のクジラやイルカが生息しています。ケアンズ(Cairns)やエアリー・ビーチ(Airlie Beach)などの人気のスポットからもサンゴ礁にアクセスできますが、マグネティック島(Magnetic Island)のアースウォッチ(Earthwatch)が主催する5日間のエクスペディションで、市民科学者として現地のサンゴ礁研究者とともに探検してみるのはいかがでしょう。
65,000年以上に渡ってビニンジ(ムンガイ)族の人々の故郷であるカカドゥ(Kakadu)は、世界最古の文化を体験するにはオーストラリアで最も適した場所の一つです。この国立公園は、地域の伝統的所有者であるアボリジナルピープルが共同で管理しており、豊かな文化に触れるための素晴らしい方法を数多く提供しています。ノーランジー(Nourlangie)とウビア(Ubirr)で壁画を見たり、カカドゥの文化遺産をアボリジナル・ガイドの案内で巡り詳しく学んだり、グルヤンビ・カルチュラル・クルージズ(Guluyambi Cultural Cruise)に参加して地元の文化とブッシュでのサバイバルスキルを教わったりしましょう。
世界最南端のサンゴ礁と世界一高い海食柱(海岸付近に形成される岩石層)が特徴的な、亜熱帯雨林に覆われたこの火山島はまさに別世界です。この島の住民はわずか350人ほどですが、500種もの魚類や世界でも最も希少な鳥類も生息しています。一度に400人しか入島が許可されておらず、自動車も走っていないため、この島への訪問は、ハイキング、サイクリング、シュノーケリングなどの自然体験でいっぱいです。カペラ・ロッジ(Capella Lodge)に滞在すれば、雨林に囲まれたプール、格別な食体験、贅沢なデイスパなど、この楽園の島をラグジュアリーに楽しむことができます。
3億5千万年以上前に形成されたバングル・バングル(Bungle Bungles)の壮大な山脈は、独特の黒とオレンジの縞模様と形状から蜜蜂の巣とも呼ばれる岩山のドーム群の連なりです。この地域は、1980年代まで地元のアボリジナルピープルと一部の農民にしか知られていない、世界でも有数の地質学的秘境でした。キングフィッシャー・ツアーズ(Kingfisher Tours)が開催するツアーでは、地元のギジャ族(Gija)やカルジャガヌジャル族(Karjaganujaru)の伝統的所有者とともに、素晴らしい自然の造形を巡るツアーに参加できます。また、ヘリコプター・サファリ(helicopter safari)では上空からドームを眺めることができます。
1973年開業のシドニー・オペラ・ハウス(Sydney Opera House)は近代建築の傑作で、世界で最も知られた建造物の一つです。世界遺産に登録された最も新しい文化遺産でもあります。建築家ヨーン・ウッツォン(Jorn Utzon)が未来を想像しながらデザインし、ハーバーの海水を利用した冷却システムなど、巧妙でサステナブルな設計要素が採用されています。世界で最も有名なコンサートホールのステージで歌ってみたいですか?その場合は、早朝のバックステージツアー(backstage tour)に参加しましょう。建築に注目するアーキテクチュアル・エクスペリエンス(architectural experience)のツアーに参加して、他にはない特徴を持つこの建築物を鑑賞するのもおすすめです。足の不自由な方も参加できるモビリティ・アクセス・ツアー(mobility access tours)も毎日開催されています。
地元のアナング族(Anangu)の人々にとって神聖なウルル(Uluru)は、オーストラリアで最も有名な自然のランドマークであり、実際に見に行くことで初めて、その圧倒的な美しさとエネルギーを実感できます。ウルル - カタ・ジュタ国立公園(Uluru-Kata Tjuta National Park)は、現代の科学とジュクルパ(Tjukurpa)と呼ばれる伝統的な知識を組み合わせて管理されています。この地域を体験するには、土地の伝統的所有者たちと一緒に巡るのが一番です。SEITウルル・ツアー(SEIT Uluru Tour)に参加して、創世神話を聞いたり、古代の壁画を見たりして、ウルルが今も保ち続けている重要性について学びましょう。ウルルの麓に座り、マルク・アーツ(Maruku Arts)のドットペインティング教室で実際に体験してみましょう。
クイーンズランド州の世界遺産エリアにある湿潤熱帯地域の一部で、南のタウンズビル(Townsville)から北のクックタウン(Cooktown)まで広がるデインツリー・レインフォレスト(Daintree Rainforest)は、世界最古の熱帯雨林です。豊かな生物多様性を誇るこの世界遺産には、663種の動物、230種の蝶、2,800種類以上の植物が生息しています。またその多くは他に見られない固有種です。モスマン渓谷センター(Mossman Gorge Centre)が提供する冒険に出かけ、地元のアボリジナルピープルの視点を通してこの素晴らしい地域を探検したり、ガイド付きのナイト・ウォーク(night walk)でデインツリーに生息する、夜行性の珍しい生き物を見に出かけたりしましょう。
1968年にマンゴ・レディ(Mungo Lady)、1974年にマンゴ・マン(Mungo Man) — アフリカ以外で発見された最古の人骨 — がマンゴ国立公園(Mungo National Park)にある乾燥湖の湖底の端で発見されたことで、人類がオーストラリアに住んでいるとされる期間が2倍長くなり、世界史が書き直されました。この公園は、風と水が織り成す砂質泥岩の岩石群が作る古代の風景であるウィランドラ湖世界遺産地域(Willandra Lakes Region World Heritage Area)の一部を成しています。マンゴ・ロッジ(Mungo Lodge)に滞在し、歴史的な人類の化石が発見された場所で、その幻想的な形からウォールズ・オブ・チャイナ(Walls of China)として知られる三日月形の地形を見学するガイド付きツアーに参加しましょう。