
メルボルンで人気のジン・バー
メルボルンでは少量生産のスピリッツが豊富で、ジン愛好家にはさまざまな選択肢があります。
原文:ポール・チャイ
ジンの酒場が生まれたのは1800年代、ゴールドラッシュ時代のメルボルンでのことですが、現代のジン・バーは当時のものよりはるかに洗練されています。今では、希少なオーストラリア産のジンを自家製のトニックで割り、天然果汁で味付けしたカクテルを地下のバーで味わうことができます。また、ワインで名高い地区でワールドクラスのジンを嗜むのもよし、カクテル作りの技を見て楽しむ「隠れ家的な店」(街にはたくさんあります)に行くのもおすすめです。ジンを楽しむ場合は、これらのメルボルンバーで席を開いてください。ジンを楽しむならぜひ訪ねていただきたいメルボルンのバーをご紹介します。
ジン・パレス
市の中心部、ラッセル・プレイス(Russell Place)にあるこの人気店は、メルボルンで生まれたジン・バーでは最高級の店のひとつです。贅沢なラウンジやベルベットのドレープカーテンといった内装で、ゴールドラッシュ時代のメルボルンのジン・バーを再現しようとしています。ジン・パレス(Gin Palace)では、ジン・トニックは、自家製のユズ・トニックや最近人気のフィーバーツリーの各種トニック・ウォーターとともに、メニューでは独立したカテゴリーに分類されています。オーストラリア産のジンもいろいろ揃っているので、それを試すのもいいでしょう。気がつけば申し分のないジン・ベースのカクテルを手にしているというような、洗練されたテーブルサービスが期待できます。
1806
1806は、メルボルン市中心部のエキシビション・ストリート(Exhibition Street)に面した歴史的建造物に店を構えています。店の名前は、「カクテル」という言葉が初めて印刷物で使われた年に由来しています。彼らにとって、カクテル作りは真剣勝負です。メニューは、1650年のパンチの時代から現在までのカクテルの歴史を年代順にたどれる構成になっていて、すべての飲み物が、深紅のベルベットの椅子や革製の低いカウチという装飾的な雰囲気の中で提供されます。ヤラ・バレー(Yarra Valley)のフォー・ピラーズ(Four Pillars)など、ジンの種類は豊富です。1806では1900年から1919年までをカクテルの「映画スター」時代と呼んでいますが、この時期のカクテル「アビエーション(Aviation)」をぜひお試しください。
ジ・エバーリー
メルボルン北部のファッショナブルな街フィッツロイ(Fitzroy)で階上に店を構える隠れ家的名店ジ・エバーリー(The Everleigh)は、年代物のカットグラスのデカンタ、大理石のカウンター、カクテルの材料を収納するガラスのキャビネットなどでわかるように、カクテルをアートにまで高めた店として、何度も賞を受けています。ひところは、フィズやサゼラックといったクラシック・カクテルがもてはやされましたが、ジ・エバーリーのスタッフは、材料の鮮度や非の打ちどころのないサービスなどの細部にまで注意を払って接客の技を磨いています。「タキシード・ナンバー・ワン(Tuxedo No. 1)」をお試しください。メルボルン製のアルテミス・ジンとフィノ・シェリー、オレンジ・ビターを混ぜ合わせたカクテルです。
ロミオ・レーン
このカクテル・バーがある路地は、1800年代後半に面目を一新するまでは、メルボルンの歓楽街でした。店名のロミオ・レーン(Romeo Lane)は、以前のいかがわしい時代を思い起こさせます。もっとも今では、この店と同じようなレストランやバーが建ち並び、ヨーロッパのカフェを思わせる雰囲気の中でクラシック・カクテルを提供しています。大陸への親近感はドリンクリストにも表れています。カクテルでは、多くの場合ジンが主役です。ジンに合わせるのが、フランス産強化ワインのリレ・ルージュ(Lillet Rouge)、カンパリ(Campari)、そして少量のアブサンです。
フォー・ピラーズ・ジン
メルボルンから車で1時間のヤラ・バレーでは、最高級のジンが醸造されています。フォー・ピラーズ(Four Pillars)のチームは、名のある国際コンクールで三度、自家製のレア・ドライ・ジンでダブル・ゴールド・メダルを受賞しています。すなわち、2017年のニューヨーク・ワールド・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(New York World Wine & Spirits Competition)と、2016年および2014年のサンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(San Francisco World Spirits Competition)です。ヒールズビル(Healesville)に新しくできたフォー・ピラーズの施設で最高級のジンを試飲すれば、その理由がわかるでしょう。ヤラ・バレーの冷涼な気候で育てられたブドウをジンに浸したフルーティーな夏のジン、ブラディ・シラーズ(Bloody Shiraz)や、オーストラリア産のフィンガー・ライム、コリアンダー、ターメリック、ジンジャーから作られるネイビー・ストレングス(Navy Strength)をお試しください。
マダム・ブリュッセル
マダム・ブリュッセル(Madame Brussels)でいつも開かれているルーフトップ・ガーデン・パーティーは、ジンを飲みながらおしゃべりするにはうってつけの場所です。テラス・バーには人工芝が敷き詰められ、パステルカラーの椅子やパラソルが置かれています。客はここで、ジン・ガーデン(材料はロンドン・ドライ・ジン、新鮮なキュウリ、エルダーフラワー・コーディアル、アップルジュース、炭酸水)などのパンチや、ポリネーター(材料はボンベイ・サファイア・ジン(Bombay Sapphire gin)、アプリコットジュース、ホワイトチョコレート、アペロール(Aperol)、レモネード)を注文します。これは楽しい集まりで、陽気なオーナーのミス・パールズもよく姿を見せます。
リリー・ブラックス
筋金入りのカクテル・ファンはリリー・ブラックス(Lily Blacks)に集まります。この店のどこか懐かしいドリンク・メニューは、アール・デコ調の雰囲気にぴったりです。メルボルン市街地の裏路地というロケーションとあいまって、どこか別の時代にタイムスリップしたように感じるかもしれません。ウイスキーサワーでクラシックな雰囲気を味わうか、もっと冒険するなら、パン・アメリカン・クリッパー(Pan American Clipper)を試してみましょう。フレッシュ・ライム・ジュースとペルノ・アブサン(Pernod absinthe)で作ります。